【コラム】家族葬の訃報のお知らせの書き方とマナーを解説【例文あり】
大切な家族を失った際、親族や故人の友人・知人への訃報のお知らせは、悲しみの中でも避けては通れない重要な役目です。特に近年増加している家族葬では、参列者を限定する必要があるため、通知の仕方や文面には特別な配慮が必要となります。
しかし、多くの方が「誰にどのタイミングで知らせるべきか」「どのような言葉を選べばよいのか」という不安を抱えています。さらに、SNSの普及により訃報の伝え方も多様化し、適切な手段の選択に戸惑う方も増えています。
- 故人との関係性に応じた連絡方法の選び方
- 失礼のない文面の作成方法
- 知らせるタイミングと順序の判断基準
この記事では、家族葬における訃報連絡の基本的なマナーから、実際の文例まで、誰にでもわかりやすく解説していきます。これらの情報を参考にすることで、大切な方々への訃報連絡を、故人の尊厳を保ちながら、適切に行うことができるようになります。
家族葬における訃報連絡の基本
家族葬における訃報連絡は、親族や故人と親しい方々へ配慮ある形で行うことが重要です。故人との関係性や葬儀の規模に応じて、適切な連絡方法とタイミングを選ぶ必要があります。
家族葬とは何か
家族葬は、近親者のみで執り行う小規模な葬儀形式です。一般的な葬儀と比べて参列者を限定することで、より故人や遺族の意向を尊重した静かな送りだしが可能となります。
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訃報連絡が必要な理由
家族葬であっても、故人と親しかった方々への配慮として訃報連絡は欠かせません。故人との最期のお別れの機会を提供し、関係者との良好な関係を維持するためにも重要な役割を果たします。
家族葬ならではの訃報の特徴
家族葬の訃報は、一般的な葬儀と比べてよりプライベートな性質を持ちます。連絡する範囲を慎重に選び、家族葬という形式を選んだ理由を丁寧に説明することが求められます。

家族葬における訃報連絡は、故人と遺族の意向を尊重しながら、関係者への適切な配慮を行うことで、心のこもった送りだしを実現する重要な要素となります。
家族葬の訃報連絡のタイミング
訃報連絡は、故人との関係性や距離感を考慮しながら、適切なタイミングで行うことが大切です。特に家族葬の場合は、参列者が限定されることを踏まえた丁寧な説明が求められます。
葬儀前の連絡
親族や故人と親しい方には、できるだけ早く連絡を入れることが望ましいです。緊急性の高い連絡は電話で行い、日時や場所などの詳細は後日メールやメッセージで補足するのが一般的です。
葬儀後の事後報告
家族葬を終えた後は、参列できなかった方々へ丁寧に報告を行います。事後報告では、葬儀の様子や故人への想いを込めた文面を心がけましょう。はがきや手紙での連絡が望ましいとされています。
連絡する順番と優先順位
連絡は以下の順序で行うことをおすすめします。
- 近親者・親族
- 故人の親しい友人
- 仕事関係の重要な関係者
- その他の知人・関係者

訃報連絡は、相手への配慮と適切なタイミングを重視しながら、状況に応じた連絡手段を選択することが重要です。
家族葬の訃報の伝え方と手段
家族葬の訃報連絡は、親族や故人と親しい方々に対して、丁寧かつ適切なタイミングで行うことが重要です。状況に応じて電話やメール、はがきなど、最適な連絡手段を選択します。
電話での連絡方法と例文
電話による訃報連絡は、最も迅速かつ丁寧な方法とされています。「突然のお電話で申し訳ありません」と切り出し、まず自身の名前を名乗り、その後に訃報を伝えます。相手の予定を確認しながら、日時や場所を説明することが大切です。
例文:
突然のお電話で失礼いたします。○○の長男の□□です。
父/母が本日未明に永眠いたしました。
生前は大変お世話になり、ありがとうございました。
葬儀の日時と場所が決まりましたので、ご連絡させていただきます。
日時:○月○日(○曜日)
午前11時から午後1時(午後0時30分より読経)
場所:○○葬祭場
○○県○○市○○町○-○-○
ご不明な点やご質問等ございましたら、お手数ですがこちらまでご連絡ください。
電話番号は、03-○○○○-○○○○です。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。失礼いたします。
メールでの連絡方法と例文
メールは複数の方へ同時に連絡できる利点があります。メールでの訃報連絡は、手紙やはがきと同じ要領で作成することができます。ただし、メールでの連絡を失礼だと感じる方もいらっしゃるため、送信先は慎重に選ぶ必要があります。
例文:
令和△年△月△日
■■様
謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、私の父・○○が、かねてより病気療養中のところ、去る△月△日に△△歳にて永眠いたしました。 ここに生前のご厚情を深謝するとともに、謹んでお知らせ申し上げます。
葬儀につきましては、故人の生前のご遺志により、家族葬にて執り行わせていただきました。 何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、誠に勝手ではございますが、ご供花、ご供物、ご香典は固くお断りさせていただきます。
本来であれば速やかにお伝えすべきことではございましたが、事後のご報告となりましたこと、 深くお詫び申し上げます。何卒ご容赦を賜りますようお願い申し上げます。
今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
喪主 □□(長男) 連絡先 携帯電話:090‐△△△△‐△△△△ E-mail:△△@△△
はがき・手紙での連絡方法と例文
家族葬の場合、多くは葬儀終了後に訃報をお知らせすることになります。その際は、手紙やはがきでの連絡が最も適しています。
例文:
謹啓
私の父、○○は令和△年△月△日に永眠いたしました。 ここに生前賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます。
故人の生前のご遺志に従い、葬儀は近親者のみで執り行わせていただきました。 皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、誠に勝手ではございますが、供花、供物、香典につきましては固くお断りさせていただきます。
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ここに謹んでご通知申し上げます。
敬白
令和△年△月 喪主 □□(長男) 〒△△△-△△△△ 東京都○○区○○丁目○○ 電話番号:03(△△△△)△△△△

それぞれの連絡手段には特徴があり、状況や関係性に応じて適切な方法を選択することが大切です。丁寧な言葉遣いと、相手への配慮を忘れずに伝えましょう。
対象者別の訃報連絡の例文とポイント
家族葬における訃報連絡は、対象者との関係性に応じて適切な言葉遣いと内容を選ぶことが重要です。親族から会社関係者まで、それぞれの立場に配慮した連絡方法を心がけましょう。
親族への連絡文例
親族への訃報は、できるだけ早く、かつ丁寧に伝えることが大切です。葬儀の日時や場所などの具体的な情報も忘れずに。
例文:
突然のお電話で申し訳ありません。○○の長男の□□です。
父○○が、病院で治療を続けてきましたが、今朝早く静かに眠るように亡くなりました。家族で看取ることができ、最期は穏やかな様子でした。
お葬式は、家族だけで小さくさせていただこうと思っています。日時などが決まりましたら、またご連絡させていただきます。
何かございましたら、いつでも私の携帯(090‐△△△△‐△△△△)までお電話ください。
急なお知らせになってしまい、申し訳ありません。
故人の友人・知人への連絡文例
友人・知人には、故人との関係性に配慮しながら連絡します。「突然のご連絡で恐縮ですが」のような前置きから始め、家族葬である旨を伝え、後日、改めて報告させていただく形が一般的です。
例文:
かねてより入院治療を続けておりました父○○は、令和□月□日□時□分、△△歳で永眠いたしました。
生前は父に格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
お葬儀は、父の希望により家族葬として執り行うことにいたしましたが、○○様には是非ともご参列いただきたく、ご案内させていただきます。
なお、大変恐縮ではございますが、ご香典やお花、お供え物などのお気持ちは固くご辞退させていただきたく存じます。
【ご案内】 ■通夜 日時:令和□年□月□日 午後□時より ■告別式 日時:令和□年□月□日 午前□時より
■会場 ○○斎場 〒xxx-xxxx 東京都○○区○○○○ TEL:03‐△△△△‐△△△△
■喪主 ○○○○ 携帯:090‐△△△△‐△△△△
会社・勤務先への連絡文例
会社への連絡は、正式な書面や電話で行います。「○○部○○課の△△の父が昨日永眠いたしました」という形で、所属部署や続柄を明確にして伝えることが重要です。
例文:
失礼いたします。製造部生産管理課課長○○の長男の□□でございます。
かねてより入院加療を続けておりました父○○でございますが、昨晩□時□分に永眠いたしましたことをご報告申し上げます。
葬儀につきましては、父の遺志に従い、近親者による家族葬にて執り行わせていただく予定でございます。また、誠に恐縮ではございますが、ご香典やお花などのご厚志は謹んでご辞退させていただきたく存じます。
××社の皆様には、父が在職中より数々のご指導ご鞭撻を賜り、家族一同、心より感謝申し上げております。
なにかございましたら、私の携帯電話(090‐△△△△‐△△△△)までご連絡いただけますと幸いです。
突然のご連絡となり、大変申し訳ございません。
近隣住民への連絡文例
近隣住民には、簡素な通夜・告別式となることを伝え、理解を求める形で連絡します。「家族葬とさせていただきますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます」といった表現が適切です。
例文:
突然のお電話で失礼いたします。 ○○の息子の□□でございます。
父は長らく病気療養をしておりましたが、本日早朝、静かに旅立ちました。
お葬式は、父の希望により、△月△日に家族だけで小さく済ませさせていただきました。
日頃より父や家族に温かいお心遣いをいただき、本当にありがとうございました。
なお、恐縮ではございますが、お花やお供え物などのお気持ちは固くご辞退させていただきたく存じます。
何かございましたら、私の携帯(090‐△△△△‐△△△△)までご連絡いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

対象者それぞれの立場や故人との関係性を考慮し、適切な言葉遣いと内容で訃報を伝えることで、円滑な家族葬の実施につながります。
家族葬の訃報で気をつけるマナーと注意点
家族葬における訃報連絡は、親族や故人と親しい方々への配慮が特に重要です。通知する範囲を適切に選び、丁寧な言葉遣いで心情に寄り添った連絡をすることが大切です。
避けるべき表現と忌み言葉
訃報では、「死亡」「死去」などの直接的な表現を避け、「永眠」「逝去」といった婉曲表現を使用します。また、「終わる」「切れる」「苦しい」などの忌み言葉は使用を控え、故人への敬意を示す言葉選びを心がけましょう。
香典・供花辞退の伝え方
香典や供花を辞退する場合は、「ご厚意は深く心に留めさせていただきます」など、感謝の意を示しながら伝えることが望ましいです。ただし、辞退の意向は強制的な表現を避け、やわらかく伝えます。
参列についての案内方法
家族葬という形式を明確に伝えた上で、日時や会場の案内を簡潔に記載します。特に参列者の範囲については、「親族・故人と親しかった方々」など、具体的に示すことで混乱を防ぎます。

家族葬の訃報は、故人への敬意と参列者への配慮のバランスを保ちながら、必要な情報を適切に伝えることが重要です。
よくある質問
家族葬の訃報はいつまでに出すべき?
家族葬の訃報は、原則として亡くなってから24時間以内に、親族や故人と親しい方々へ連絡することが望ましいとされています。ただし、深夜や早朝の連絡は避け、翌朝の適切な時間帯に行うことをお勧めします。
事後報告のみでも失礼にあたらない?
家族葬の場合、事後報告のみでも失礼には当たりません。むしろ、故人や遺族の意向を尊重した選択として理解を得られることが多いです。ただし、特に親しい方々には可能な限り事前に連絡することが望ましいでしょう。
SNSでの訃報連絡は適切?
SNSでの訃報連絡は、基本的には避けることをお勧めします。親族や親しい方々には、電話や直接の訪問など、より丁寧な方法で連絡するべきです。ただし、遠方の知人への事後報告として活用することは可能です。
訃報を出し忘れた場合の対処法は?
訃報を出し忘れた場合は、気付いた時点で速やかに連絡することが大切です。その際は、連絡が遅くなったことへのお詫びと共に、簡潔に状況を説明します。必要に応じて、後日改めて詳しい説明を行うことも検討してください。
まとめ
家族葬における訃報のお知らせは、故人と遺族の意向を尊重した丁寧な配慮が必要不可欠です。連絡の方法は、電話、メール、はがき、FAXなど、状況や関係性に応じて適切な手段を選択することが重要です。
訃報連絡のタイミングは、大きく葬儀前と葬儀後の2つに分かれます。連絡する際は、親族、故人の友人・知人、会社関係者、近隣住民など、対象者に応じた適切な文面と表現を心がけましょう。
訃報連絡の際に注意すべきポイントは以下の通りです。
- 忌み言葉を避け、丁寧な表現を使用する
- 香典・供花辞退の意向を明確に伝える
- 参列に関する案内を適切に行う
- SNSでの連絡は慎重に判断する
もし訃報の連絡が遅れてしまった場合でも、誠意を持って対応することが大切です。故人への敬意と遺族の気持ちに配慮しながら、それぞれの関係性に応じた適切な対応を心がけることで、円滑な訃報連絡を行うことができます。
最後に、家族葬は近年増加傾向にある葬儀形式です。状況に応じて柔軟に対応しながら、故人と遺族の意向を第一に考えた訃報連絡を心がけましょう。