【コラム】葬式と告別式の違いとは?意味や流れ、マナーを完全解説
「葬式」と「告別式」という言葉、同じものを指していると思っていませんか?実は、これらには明確な違いや意味合いがあり、理解しておくことで大切な人との最後の別れの場に適切に参列することができます。
突然の訃報に接した時、どのような流れで葬儀が進むのか、何を準備すべきか、どんなマナーを守るべきかなど、多くの疑問が生じるものです。本記事では、葬式と告別式それぞれの意味から参列時の心得まで、知っておくべき情報を網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下のような知識が得られます。
- 葬式と告別式の正確な定義と違い
- それぞれの儀式の流れと目的
- 参列する際の適切な服装やマナー
- 香典や弔電などの準備すべきもの
- 宗教による違いと注意点
人生で何度も経験するものではない葬儀の場。だからこそ、事前に正しい知識を身につけておくことで、故人を送る大切な時間に集中することができるでしょう。
はじめに:葬儀・告別式・通夜の基本
大切な人との最後のお別れの場である葬儀関連の行事には、葬式、告別式、通夜など様々な呼び方があります。これらの言葉は日常会話で混同されがちですが、それぞれに異なる意味や役割があります。故人を送る際に適切な言葉を使うことは、遺族への配慮としても重要です。
葬儀とは一般的に故人を弔うための一連の儀式全体を指す総称で、通夜から火葬までの全過程を含みます。一方、告別式は葬儀の中の一部分であり、故人との最後のお別れをする場です。通夜は葬儀の前夜に行われる、故人の魂を慰める儀式です。
これらの違いを正しく理解することで、弔事の場で適切な振る舞いができるようになります。また、宗教や地域によって葬儀の形式は異なるため、基本的な知識を持っておくことが大切です。
儀式 | タイミング | 主な目的 |
---|---|---|
通夜 | 葬儀前夜 | 故人の魂を慰める |
葬式/葬儀 | 通夜の翌日 | 故人を送る一連の儀式全体 |
告別式 | 葬儀の中 | 故人との最後のお別れ |
日本の伝統的な葬儀では、通夜から始まり、翌日に葬式(本葬儀)が行われ、その中で告別式が執り行われるという流れが一般的です。近年では、一日葬や直葬など簡略化された形式も増えていますが、基本的な意味合いは変わりません。
- 通夜:故人が亡くなった後、葬儀前夜に行われる儀式
- 葬儀/葬式:通夜の翌日に行われる、故人を送るための一連の儀式全体
- 告別式:葬儀の中で行われる、参列者が故人と最後のお別れをする場

葬儀と告別式の違いを理解し、適切な言葉を使うことは、故人への敬意と遺族への配慮を示す大切な要素です。それぞれの儀式の意味を知ることで、弔事の場での振る舞いにも自信が持てるようになります。
葬儀とは
葬儀は、亡くなった方の魂を冥界へ送り出すための儀式であり、遺族や関係者が故人との最後のお別れをする場です。日本では「葬式」とも呼ばれ、宗教的な儀礼と社会的な慣習が組み合わさった重要な通過儀礼となっています。葬儀は単なる別れの場ではなく、故人を偲び、生前の功績を称え、残された人々が悲しみを共有し、心の整理をつける機会でもあります。
葬儀の概要と意味
葬儀は、故人の死を社会的に認め、公に告知する場としての役割を持っています。宗教的には、故人の魂が安らかに次の世界へ旅立てるよう祈りを捧げる儀式です。社会的には、故人との関係があった人々が集まり、共に死を受け入れる場として機能しています。
葬儀には「弔い」と「供養」という二つの意味合いがあります。弔いは故人を悼み、生前の恩に感謝する気持ちを表すことであり、供養は故人の霊が成仏できるよう祈ることです。これらの行為を通じて、遺族は悲しみを乗り越え、新たな生活への一歩を踏み出す助けとなります。
葬儀の種類
葬儀には様々な形式があり、宗教や地域の習慣、家族の希望によって選択されます。主な葬儀の種類は以下の通りです。
- 一般葬:親族や友人、知人、職場関係者など幅広い参列者を招いて行う一般的な葬儀
- 家族葬:近親者のみで執り行うこじんまりとした葬儀
- 直葬:葬儀や告別式を行わず、火葬のみを行う最もシンプルな形式
- 社葬:会社や団体が主催する故人の功績を称える大規模な葬儀
- 宗教葬:仏教、神道、キリスト教など特定の宗教儀式に則った葬儀
近年では、家族葬や直葬など小規模な葬儀形式を選ぶ家族が増えています。これは核家族化や高齢化社会の進行、価値観の多様化などが背景にあると考えられています。
葬儀の一般的な流れ
一般的な仏式葬儀の流れは以下のようになります。ただし、宗教や地域によって異なる場合があります。
- 臨終・死亡確認:医師による死亡確認が行われます
- 納棺:故人をきれいに清め、死装束を着せて棺に納めます
- 通夜:故人を偲ぶ場として、前日の夕方から夜にかけて行われます
- 告別式:故人との最後のお別れの場として、翌日の午前中に行われることが多いです
- 出棺・火葬:告別式後、棺を火葬場へ運び、火葬を行います
- 収骨:火葬後、遺族が故人の遺骨を拾い、骨壺に収めます
- 初七日法要:死後7日目に行われる供養の儀式です
葬儀社によっては、これらの流れをスムーズに進行できるようワンストップサービスを提供しているところもあります。遺族は事前に葬儀の形式や規模について話し合い、故人の意向や家族の状況に合わせた選択をすることが大切です。
葬儀の種類 | 特徴 | 適している状況 |
---|---|---|
一般葬 | 広く参列者を招く伝統的な形式 | 社会的な繋がりが広い方、地域との関わりが深い方 |
家族葬 | 近親者のみの小規模な葬儀 | 故人が高齢の場合、親しい人が少ない場合 |
直葬 | 葬儀・告別式なしで火葬のみ | 故人の遺志、費用を抑えたい場合 |
社葬 | 会社・団体主催の大規模な葬儀 | 企業の役員、著名人など |
葬儀は故人を送り出す大切な儀式であり、遺族の悲しみを癒し、新たな一歩を踏み出すための機会です。形式や規模よりも、故人と遺族の思いが尊重される葬儀であることが最も重要です。
通夜とは
通夜は、故人が亡くなってから葬儀・告別式の前夜に行われる儀式です。本来は故人の枕元で一晩中過ごす「枕通夜」が行われていましたが、現代では数時間の「留め通夜」が一般的となっています。故人との最後の夜を過ごす大切な時間であり、遺族や親族、友人・知人が集まって故人を偲びます。
通夜の概要と意味
通夜は仏教用語では「偲び通夜」と呼ばれ、文字通り故人を偲んで夜を過ごす儀式です。かつては遺族が故人の枕元で一晩中過ごす形式でしたが、現代の通夜は午後6時頃から8時頃までの2時間程度で執り行われることが多くなっています。
通夜の本来の意味は、故人の魂が成仏するまでの間、遺族が見守るという意味合いがあります。また、突然の死による邪気から故人を守るという意味もあるとされています。現代では、故人との別れを惜しみ、生前の思い出を語り合う場としての役割が大きくなっています。
通夜の流れ
一般的な通夜の流れは以下のようになります。
- 受付(会場入口で記帳・香典を渡す)
- 焼香(故人に対して最後の挨拶をする)
- 読経(僧侶によるお経)
- 弔辞(代表者による故人を偲ぶ言葉)
- 通夜振る舞い(簡単な食事や飲み物の提供)
通夜の所要時間は通常1〜2時間程度で、僧侶による読経が終わると、遺族からの挨拶があり、その後は通夜振る舞いとなります。通夜振る舞いでは、故人の思い出話に花を咲かせることが多く、故人を偲ぶ大切な時間となります。
通夜でのマナー
通夜に参列する際は、いくつかのマナーを守ることが大切です。服装は基本的に黒の平服(ダークスーツ)が望ましく、派手な装飾品は避けるべきです。香典は白黒または金銀の水引がついた不祝儀袋を使用し、表書きには「御霊前」や「御香典」と書きます。
焼香の作法も重要なマナーの一つです。焼香台の前で一礼し、線香を受け取ったら額の高さまで持ち上げて一礼します。その後、線香の火を消さずに香炉に入れ、再度合掌して一礼します。焼香の回数は宗派によって異なりますので、周囲の方の様子を見て行うとよいでしょう。
また、通夜の席では故人や遺族に対して敬意を表し、大声で話したり笑ったりすることは避けましょう。携帯電話はマナーモードにするか電源を切り、通話は会場の外で行うことがマナーです。
通夜は故人との最後のお別れの場であり、遺族にとっては悲しみの中にある大切な儀式です。参列者は故人への敬意と遺族への配慮を忘れないようにしましょう。

通夜は故人を偲ぶ重要な儀式で、現代では短時間の「留め通夜」が一般的となり、参列者は適切な服装とマナーで臨むことが求められます。
告別式とは
告別式は、亡くなった方との最後のお別れをする場として執り行われる儀式です。葬儀の一部として位置づけられることが多く、故人を偲ぶための重要な機会となっています。日本の葬送文化において、告別式は遺族や親族だけでなく、故人と関わりのあった多くの人々が参列し、最後の別れを告げる場として大切にされています。
告別式の概要
告別式は一般的に葬儀の中心的な儀式として行われ、故人の遺体または遺骨を前に、参列者が最後の別れを告げる場です。多くの場合、葬儀の2日目に執り行われることが多いですが、近年では一日葬や直葬など葬儀形式の多様化に伴い、タイミングや形式も変化しています。
告別式では、僧侶や神職などの宗教者による読経や祝詞が奏上され、遺族代表による挨拶、参列者による焼香や献花が行われます。場所は斎場や葬儀会館、寺院などで執り行われることが一般的です。
告別式の意味・目的
告別式の主な目的は、故人との最後の別れを惜しみ、生前の感謝の気持ちを表すことにあります。故人の冥福を祈り、魂を送り出すという宗教的な意味合いと、社会的に故人の死を公に認め、遺族を支える機会という二つの側面を持っています。
また、告別式は遺族にとって悲しみを共有し、心の整理をつける機会となります。参列者にとっても、故人との思い出を振り返り、自らの生き方を見つめ直す貴重な時間でもあります。
告別式に参列できる人
告別式は基本的に誰でも参列することができます。故人と関わりのあった人々が広く集まる場であり、家族や親族はもちろん、友人、同僚、知人などが参列します。葬儀の形式によっては「家族葬」など参列者を限定する場合もありますが、一般的な告別式では故人を偲びたい人であれば参列可能です。
招待状や案内状が出されることもありますが、故人との関係があれば自主的に参列することも許容されています。ただし、近年はコロナ禍の影響もあり、参列者数を制限するケースも増えていますので、事前に遺族や葬儀社に確認することが望ましいでしょう。

告別式は故人との最後のお別れの場であり、参列者それぞれが故人への感謝や追悼の気持ちを表す重要な儀式です。故人の冥福を祈り、遺族を支える場として機能しています。
葬儀と告別式の違い
葬儀と告別式は、故人を見送る儀式として混同されがちですが、実は明確な違いがあります。葬儀は宗教的な儀式を含む一連の流れを指す総称であるのに対し、告別式は故人との最後の別れを惜しむための特定の場面を指します。正しい理解と適切な言葉の使い分けは、弔事の場では特に重要とされています。
時間的な違い
葬儀と告別式には時間的な位置づけの違いがあります。葬儀は通夜から火葬、初七日法要までの一連の流れ全体を指す総称です。一方、告別式は葬儀の中の一部分で、主に通夜の翌日に行われる儀式を指します。
葬儀全体の流れの中で、告別式は故人を火葬場へ送り出す直前に行われる区切りとなる儀式です。通常、午前中に告別式を行い、その後火葬場へ移動するというスケジュールが一般的です。
目的の違い
葬儀と告別式はそれぞれ異なる目的を持っています。葬儀の主な目的は、宗教的な儀式を通じて故人の霊を供養し、あの世へ送り出すことです。仏教であれば読経や焼香、キリスト教であればミサなど、宗教的な要素が強く含まれます。
一方、告別式は名前の通り、参列者が故人と最後のお別れをする場として位置づけられています。遺族や参列者が故人の顔を見て、別れを告げる機会となります。宗教的な要素よりも、故人との個人的な別れを重視する傾向があります。
参列者の範囲の違い
参列者の範囲にも違いがあります。葬儀全体では、故人と関わりの深かった親族や友人、同僚など比較的広い範囲の人々が参加します。特に通夜では、故人と縁のあった多くの人が弔問に訪れることが一般的です。
告別式は通常、より親しい関係者に限定されることが多いです。特に近年では、家族葬や密葬という形で、ごく親しい人だけで行う告別式も増えています。ただし、一般的な葬儀の場合は、通夜に参列した人が翌日の告別式にも参加するケースが多いです。
告別式と葬儀・通夜の関係性
告別式は葬儀の一部分であり、通夜と密接な関係があります。一般的な流れとしては、まず通夜が行われ、その翌日に告別式が執り行われます。通夜は故人が亡くなった日の夜か翌日の夜に行われることが多く、遺族や親しい人々が故人のそばで一晩を過ごす意味があります。
一連の儀式の流れとしては、通夜→告別式→火葬→初七日法要という順序が一般的です。告別式は通夜と火葬の間に位置し、故人との最後の対面の機会となります。近年では通夜と告別式を同日に行う「一日葬」や、告別式のみを行う「直葬」など、簡略化された形式も増えています。

葬儀と告別式の違いは時間的位置づけ、目的、参列者の範囲にあり、告別式は葬儀全体の一部として故人との最後の別れを惜しむ場です。
告別式の流れ
告別式は、故人との最後のお別れの場として執り行われる儀式です。一般的に葬儀の中心的な行事として位置づけられており、参列者が故人に最後の別れを告げる重要な機会となります。ここでは、一般的な告別式の流れを時系列に沿って解説します。
受付
告別式の最初のステップは受付です。参列者は会場に到着すると、まず受付で記帳を行います。ここでは、参列者の氏名や住所を記入し、香典を渡します。受付では遺族の代理として葬儀社のスタッフが対応することが一般的です。
受付では、会葬礼状や案内図、式次第などが手渡されることもあります。初めて葬儀に参列する方は、受付で不安になることもありますが、基本的には記帳と香典を渡すだけなので安心してください。
開式
開式は告別式の正式な開始を意味します。司会者による開式の言葉から始まり、僧侶や神父など宗教者による読経や祈りが行われます。この時、参列者は着席し、静かに故人を偲びます。
宗教や宗派によって儀式の内容は異なりますが、一般的には読経や聖書の朗読などが行われます。開式の際には、遺族が前に並び、喪主が挨拶を述べることもあります。
焼香・献花
宗教的な儀式の後、参列者が故人に対して最後の別れを告げる焼香または献花の時間となります。仏式の場合は焼香、キリスト教式の場合は献花が行われるのが一般的です。
焼香や献花は通常、遺族から始まり、親族、友人、知人の順に行われます。初めての方は、前の人の動作を見て同じように行うとよいでしょう。仏式の場合は、線香を取り、少し頭を下げてから香炉に入れます。
弔辞・弔電
焼香・献花の後、故人と親しかった方による弔辞が読まれることがあります。また、参列できなかった方からの弔電が司会者によって代読されます。弔辞は故人の人柄や功績を称え、参列者と共に故人を偲ぶ重要な時間です。
弔辞は通常、故人と特に親しかった友人や職場の上司などが述べます。弔電は遠方にいて参列できなかった方からのメッセージで、数が多い場合は代表的なものだけが読まれることもあります。
釘打ち
仏式の葬儀では、棺を密閉する「釘打ち」の儀式が行われることがあります。この儀式では、遺族が順番に棺に釘を打ち込み、故人との最後の別れを象徴的に表します。
釘打ちは通常、喪主から始まり、近親者が順に行います。釘は完全に打ち込まず、葬儀社のスタッフが後で完全に打ち込むことが多いです。この儀式は非常に感情的な瞬間となることが多く、参列者は静かに見守ります。
出棺
告別式の最後のステップは出棺です。棺が式場から運び出され、火葬場へと向かいます。出棺の際には、参列者全員で見送る「お見送り」が行われます。
出棺時には、遺族が棺を担いで霊柩車まで運ぶこともあります。参列者は両側に並んで見送り、花や花びらをまくこともあります。出棺後、近親者のみが火葬場へ向かい、他の参列者は解散するのが一般的です。

告別式は故人との最後のお別れの場であり、宗教や地域の習慣に基づいた一連の流れで執り行われます。受付から出棺まで、それぞれの段階で故人を偲び、敬意を表す機会が設けられています。
告別式で準備することとは
告別式に参列する際には、適切な準備が必要です。故人との最後のお別れの場である告別式では、マナーや礼儀を守ることが重要となります。事前に持ち物や香典、服装などを確認しておくことで、当日慌てることなく、故人を送り出す大切な時間に集中できます。
持ち物チェックリスト
告別式に参列する際には、必要な持ち物を事前に準備しておくことが大切です。まず基本となるのは、香典(お香典袋と現金)、数珠、ハンカチ、そして黒のフォーマルな装いです。
特に忘れやすいものとして、数珠や袱紗(ふくさ)などの仏具関連の小物があります。また、会場によっては式次第や案内状も持参すると安心です。長時間の参列となる場合は、控えめな黒い上着も用意しておくと良いでしょう。
- 香典(お香典袋と現金)
- 数珠(宗派に合わせたもの)
- ハンカチ(白または黒の無地)
- 袱紗(香典を包むため)
- 黒い傘(雨天時)
- 式次第や案内状(ある場合)
- 連絡先リスト(必要に応じて)
香典の準備
香典は故人への弔意を表す大切なものです。一般的に、香典の金額は故人との関係性や地域の慣習によって異なることを理解しておきましょう。親族や親しい友人であれば5,000円〜30,000円程度、知人や会社関係であれば3,000円〜10,000円程度が目安となります。
香典袋の表書きは「御霊前」(仏式)、「御香典」(神式)、「御花料」(キリスト教式)など、宗教や宗派によって異なります。袋の右側に自分の住所と名前を書き、中に新札ではなく一般的な紙幣を入れます。お札は新しすぎないものを選び、奇数の枚数で包むのが一般的です。
宗教・宗派 | 香典袋の表書き |
---|---|
仏式 | 御霊前、御仏前 |
神式 | 御香典、御玉串料 |
キリスト教式 | 御花料、御ミサ料 |
適切な服装
告別式における服装は、故人への敬意を示す重要な要素です。基本的には、黒を基調としたフォーマルな喪服が適切とされています。男性は黒のスーツに白いワイシャツ、黒のネクタイ、黒の靴下、黒の革靴が基本です。女性は黒の喪服またはアンサンブル、黒のストッキング、控えめな黒の靴を着用します。
アクセサリーは結婚指輪と真珠のネックレス程度にとどめ、派手なメイクや香水は避けるべきです。また、靴は光沢の少ない黒の革靴が望ましく、カジュアルな靴は避けましょう。季節に応じて、夏場は通気性の良い素材、冬場は黒のコートなどの防寒具も準備しておくと良いでしょう。
- 男性:黒のスーツ、白いワイシャツ、黒のネクタイ、黒の靴下、黒の革靴
- 女性:黒の喪服/ワンピース/アンサンブル、黒のストッキング、黒の靴
- アクセサリー:控えめに(結婚指輪、真珠のネックレス程度)
- メイク:薄めの自然なメイク

告別式の準備では、持ち物リストの確認、適切な香典の用意、そして礼を尽くした服装の選択が重要です。事前に準備をすることで、故人を送る大切な時間に集中できます。
告別式に参列するときのマナーとは
告別式は故人との最後のお別れの場であり、参列者には一定のマナーが求められます。故人への敬意を表すため、適切な服装や振る舞いを心がけることが告別式でのマナーの基本となります。特に初めて参列する方は不安を感じるかもしれませんが、基本的な作法を知っておくことで、故人やご遺族に対して失礼のない行動ができます。
受付での作法
告別式の受付では、まず落ち着いた態度で並び、自分の順番を待ちましょう。受付に到着したら、香典(不祝儀袋)を用意しておきます。香典は表書きを上にして、右手で差し出すのが正式な作法です。
受付では「お悔やみ申し上げます」と一言添えるとよいでしょう。この時、香典は両手で丁寧に渡すことが大切です。また、名前と故人との関係を伝え、芳名帳に記入することを忘れないようにしましょう。
受付で渡される案内や席次表があれば、それに従って指定された席に着席します。会場によっては、受付で数珠を借りることができる場合もあります。
焼香・献花の作法
焼香は仏式の葬儀で行われる儀式で、故人への敬意を表す大切な行為です。基本的な流れは、遺影や祭壇に向かって一礼し、焼香台の前に進み、再度一礼します。
焼香の正しい作法は宗派によって異なりますが、一般的には親指と人差し指、中指の3本で香を摘み、額の高さまで持ち上げてから香炉に入れます。宗派によっては1回、3回、あるいはそれ以上の回数を行う場合があります。
献花の場合は、祭壇に向かって一礼した後、花を両手で持ち、祭壇に供えます。その後、再び一礼して席に戻ります。不明な点がある場合は、会場のスタッフに確認するとよいでしょう。
席次と挨拶のマナー
告別式では、席次にも一定のルールがあります。一般的に、遺族や親族は前列に、会社関係者や友人は中列から後列に座ります。到着したら、案内係の指示に従って着席しましょう。
ご遺族への挨拶は簡潔に行うことが重要です。長々と話すことは避け、「ご愁傷様です」「心よりお悔やみ申し上げます」など、定型の挨拶を丁寧に伝えることが適切です。特に混雑している場合は、簡潔に済ませることがマナーです。
また、席を立つ際や移動する際は、静かに行動することを心がけましょう。式中の私語も控えるべきです。スマートフォンは必ず電源を切るか、マナーモードに設定しておきましょう。
写真撮影についての注意点
告別式での写真撮影は、基本的には控えるべき行為とされています。故人や祭壇の写真を撮ることは、ご遺族の心情を考えると不適切です。どうしても記録として残したい場合は、必ず事前にご遺族の許可を得るようにしましょう。
SNSへの投稿も同様に控えるべきです。告別式の様子や参列した事実をSNSに投稿することは、プライバシーの観点からも避けるべきです。特に祭壇や故人の写真、ご遺族の姿などを無断で撮影・投稿することは厳禁です。
例外として、ご遺族から「記念に撮影してほしい」と依頼された場合のみ、指示に従って撮影することがあります。その場合でも、他の参列者の迷惑にならないよう配慮しましょう。

告別式に参列する際は、故人への敬意と遺族への配慮を忘れず、適切なマナーで臨むことが大切です。受付での作法、焼香・献花の方法、席次と挨拶のマナー、そして写真撮影についての注意点を守ることで、厳粛な場にふさわしい振る舞いができます。
通夜と告別式はどちらに参列する方がいい?
通夜と告別式は葬儀の中心となる儀式ですが、どちらに参列すべきか迷う方も多いでしょう。基本的には両方に参列することが望ましいとされていますが、故人との関係性や距離、仕事の都合などにより、どちらか一方のみの参列も一般的に受け入れられています。参列の選択は、故人やご遺族への配慮と自身の状況のバランスを考慮して決めることが大切です。
関係性による参列の選び方
故人との関係性は、通夜と告別式のどちらに参列するかを決める重要な要素です。親族や親しい友人、職場の上司など故人と深い関わりがあった場合は、できる限り両方の儀式に参列することが望ましいでしょう。
一方、知人や取引先、同僚など比較的関係が浅い場合は、どちらか一方の参列でも失礼にはあたりません。通夜は比較的時間に融通が利くため、仕事帰りに参列できることが多く、告別式よりも打ち解けた雰囲気で故人を偲ぶことができます。
関係性による参列の目安は以下のとおりです。
- 親族・親しい友人:通夜と告別式の両方
- 職場の上司・部下:両方が望ましいが、どちらか一方でも可
- 知人・取引先:どちらか一方(特に通夜が多い)
- 会社関係の場合:代表者が告別式、その他は通夜に分散するケースも
遠方からの参列者の場合
遠方に住んでいる方にとって、通夜と告別式の両方に参列することは時間的・経済的な負担が大きくなります。このような場合は、告別式のみの参列を選ぶことが一般的です。
告別式は故人との最後のお別れの場であり、より公式な儀式としての意味合いが強いため、遠方から参列する場合は告別式を優先するのが良いでしょう。事前に葬儀を執り行うご遺族に「遠方のため告別式のみ参列させていただきます」と連絡を入れておくとより丁寧です。
ただし、故人と特に親しい関係であった場合は、可能な限り両方に参列する配慮も必要です。宿泊を伴う場合は以下のような準備をしておくと安心です。
- 宿泊施設の事前予約
- 弔事用の服装や持ち物の準備
- 香典や返礼品の受け取りを考慮した荷物計画
- 移動手段の確保(特に公共交通機関が少ない地域の場合)
仕事の都合がある場合の対応
平日に葬儀が行われる場合、仕事との兼ね合いで参列が難しいケースもあります。このような場合は、仕事の調整可能性と故人との関係性を考慮して参列を決めましょう。
通夜は夕方から夜にかけて行われることが多いため、仕事後に参列できる可能性があります。一方、告別式は午前中に行われることが多く、半日または1日の休暇が必要になるでしょう。
仕事の都合で参列が難しい場合の対応方法は以下のとおりです。
- 上司に相談し、可能であれば休暇や時間休を取得する
- どうしても参列できない場合は、弔電や供花を送る
- 後日、ご遺族に直接弔問する
- 会社の同僚と分担して、どちらかの儀式に参列する
葬儀後の法要(四十九日や一周忌など)に参列することで、故人を偲ぶ気持ちを表すことも一つの方法です。

通夜と告別式の参列選択は、故人との関係性、距離、仕事の都合を総合的に判断して決めるものです。どちらか一方しか参列できない場合でも、心を込めた弔意を表すことが最も大切です。
葬儀の形式・プランについて
葬儀には様々な形式やプランがあり、故人や遺族の意向、宗教的背景、予算などによって選択肢が異なります。葬儀は人生の最後のセレモニーとして重要な意味を持ち、故人を送り出すための大切な儀式です。近年では従来の形式にとらわれない多様な葬儀スタイルも増えてきており、ご家族の希望に合わせた選択が可能になっています。
一般葬と家族葬の違い
一般葬は親族だけでなく、友人や知人、職場関係者など幅広い参列者を招いて行う葬儀です。社会的な繋がりを大切にした方や、多くの人に見送られることを望まれる方に適しています。会場も比較的大きな斎場を利用することが多いでしょう。
一方、家族葬は近親者や親しい方だけで執り行う小規模な葬儀です。近年特に人気が高まっており、故人と家族の時間をゆっくり過ごせることや、費用面での負担軽減などのメリットがあります。一般的に参列者は5〜20人程度で行われることが多いです。
項目 | 一般葬 | 家族葬 |
---|---|---|
参列者 | 親族、友人、知人、職場関係者など幅広く | 近親者や親しい方のみ |
規模 | 中〜大規模 | 小規模 |
費用目安 | 150〜300万円 | 50〜150万円 |
メリット | 多くの人に見送られる、社会的な区切りになる | 故人と静かに向き合える、費用負担が少ない |
宗教別の葬儀の特徴
日本では仏教式の葬儀が一般的ですが、キリスト教式やイスラム教式など、宗教によって葬儀の進行や作法が大きく異なります。宗教的背景に配慮した葬儀を執り行うことで、故人の信仰を尊重することができます。
- 仏教式:読経や焼香が中心で、通夜と葬儀(告別式)の2日間で行われることが多いです。宗派によって作法が異なります。
- 神道式:神職による祝詞奏上が行われ、玉串奉奠(たまぐしほうてん)という作法があります。
- キリスト教式:聖職者による聖書朗読や讃美歌、祈りが中心となります。カトリックとプロテスタントで細部が異なります。
- 無宗教式:特定の宗教的要素を排除し、故人の人柄や生前の思い出を中心にした式です。
葬儀にかかる費用の目安
葬儀にかかる費用は形式や規模によって大きく異なります。一般的な葬儀では、葬儀一式の費用と接待費、寺院への謝礼などを合わせると100〜200万円程度が相場となっています。ただし地域差も大きいため、事前に確認することをおすすめします。
費用項目 | 一般的な相場 | 備考 |
---|---|---|
葬儀式場費 | 20〜50万円 | 式場の規模や利用時間により変動 |
祭壇・棺・装飾費 | 30〜70万円 | 祭壇の種類や装飾の豪華さにより変動 |
接待費(飲食費) | 20〜50万円 | 参列者数により大きく変動 |
僧侶へのお布施 | 10〜30万円 | 宗派や地域の慣習により異なる |
火葬場使用料 | 2〜10万円 | 自治体により金額が異なる |
家族葬や直葬(火葬のみ)を選択すれば、費用を大幅に抑えることも可能です。直葬の場合は20〜50万円程度で執り行うことができます。
最近の葬儀の傾向
近年の葬儀は多様化が進み、従来の形式にとらわれない新しいスタイルが増えています。故人の個性や生前の希望を反映させたオーダーメイド型の葬儀が注目されており、生前に自分の葬儀プランを決めておく「終活」の一環として葬儀の事前相談をする方も増えています。
特に以下のような傾向が見られます。
- 家族葬や一日葬など、簡素化・小規模化する傾向
- 生前葬(自分の葬儀に生前に参加する)への関心の高まり
- 樹木葬や海洋散骨など、自然に還る埋葬方法の選択肢の増加
- オンライン配信を取り入れたハイブリッド型の葬儀
- 故人の趣味や好きだったものをテーマにした葬儀
また、コロナ禍の影響もあり、参列者を限定した小規模な葬儀や、オンライン参列のオプションを設ける葬儀社も増えています。時代の変化とともに、葬儀のあり方も多様化していると言えるでしょう。

葬儀は形式やプランによって内容や費用が大きく異なり、一般葬と家族葬の選択、宗教的背景への配慮、予算の検討が重要です。近年は個性を尊重した多様な葬儀スタイルが増えています。
よくある質問
告別式に参列できない場合はどうすればいい?
告別式に参列できない場合は、事前に喪家へ電話やメールで欠席の連絡をしましょう。その際、弔電や供花を送ることで哀悼の意を表すことができます。また、後日改めてお線香をあげに伺うという方法もあります。状況に応じて、心のこもった対応を心がけましょう。
告別式と葬式は同じ意味で使っても問題ない?
厳密には異なります。葬式(葬儀)は亡くなった方を送る一連の儀式全体を指し、告別式はその中の一部で、参列者が最後のお別れをする場です。ただし、一般的な会話では互換的に使われることも多いため、日常会話では問題ないでしょう。公式な場では適切な言葉を選ぶことをおすすめします。
告別式の服装は必ず黒でなければならない?
基本的には喪服(黒の礼服)が望ましいですが、突然の訃報で準備ができない場合は、地味な色の服装であれば問題ありません。最近では「平服でお越しください」と案内されることもあります。重要なのは故人と遺族への敬意を表す姿勢です。事前に案内状の服装指定を確認しましょう。
子供を告別式に連れて行っても大丈夫?
基本的に問題ありませんが、子どもの年齢や理解度、静かにできるかどうかを考慮しましょう。幼い子どもは長時間静かにしていることが難しいため、騒いでしまう可能性がある場合は、交代で参列するなどの工夫が必要です。事前に子どもにも簡単に告別式の意味を説明しておくと良いでしょう。
葬儀と告別式の両方に参列する必要がある?
必ずしも両方に参列する必要はありません。特に親しい間柄でない場合は、どちらか一方の参列で十分です。一般的には告別式のみ参列することが多いです。ただし、故人や遺族と親しい関係にある場合は、可能であれば両方に参列することで深い弔意を示すことができます。
まとめ:葬儀と告別式の違いを理解して適切に対応しよう
本記事では、葬儀と告別式の違いについて詳しく解説してきました。葬儀は故人を送るための一連の儀式全体を指し、通夜から火葬までの全プロセスを含む総合的な儀式であることがわかりました。
一方、告別式は葬儀の一部として行われる、故人との最後のお別れをする場であり、時間的にも目的にも明確な違いがあります。特に参列者の範囲や準備すべきものについても異なる点があることを理解しておくことが大切です。
ここで本記事の重要ポイントを振り返ってみましょう。
- 葬儀は通夜から火葬までの一連の流れ全体を指す
- 告別式は葬儀の中の一部で、故人との最後のお別れをする儀式
- 通夜と告別式はどちらも参列することが望ましいが、状況に応じて選択することも可能
- 告別式の流れは受付から出棺まで一定の手順がある
- 香典や服装などの準備物と適切なマナーを守ることが重要
葬儀と告別式の違いを正しく理解することで、いざという時に適切な対応ができるようになります。故人との関係性や状況に応じて、通夜と告別式のどちらに参列するかを選択したり、両方に参列したりすることも検討してみてください。
最近では一般葬だけでなく家族葬など、葬儀の形式も多様化しています。事前に葬儀の形式を確認し、それぞれの場に相応しい振る舞いができるよう心がけましょう。故人を送る大切な儀式に参加することで、ご遺族への支えになるとともに、自身も故人との別れを受け入れる機会となります。
もし葬儀や告別式に関してさらに疑問がある場合は、葬儀社に相談したり、周囲の経験者に聞いたりすることも大切です。この記事が皆さんの理解の助けとなり、大切な人との最後のお別れの場に適切に対応する一助となれば幸いです。